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こんにちわ 05年7月1日 きよみのページです。

 
 
「少年A」〜

 以前『19歳〜一家四人惨殺犯の告白 永瀬準介/角川文庫』を読んだ。(内容→92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか? 暴力と増悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは・・・)
 この少年には弟がいる。普通のどちらかといえば真面目な部類に入るだろう少年。同じ環境で同じ親に育てられながらもこのようにして歩む道が違ってしまうことに驚きを隠せなかった。何故、上の子だけが?。そーして今回読み終えた『「少年A」この子を生んで・・・父と母 悔恨の手記 /文春文庫』。この少年Aにも弟がいる。
 弟はごくごく普通の生活が出来るのにこの19歳と少年Aは何故間違ってしまったのか。
 この二人の類似点はどちらも『悪いことをしたと思っていない』ことだ。「少年A」の親の手記では普通に育てたむしろ構い過ぎだと言われた経緯があるくらいだ。しかし、鑑定された物を見ると「親の愛情不足」と診断されている。一つ気になったのは「「少年A」が弟をいじめるのでその時には叩いて叱った」こと。思い当たるのはこの位しかない。ならばこの出来事が週2〜3、10年間の間繰り返されることで子どもは「自分よりも弟が愛されている」と思うのか。「少年A」を読む限りでは「少年A」は家の中ではいたって普通な気がする。けれど、学校に馴染めずによく親が呼び出されている。事件前も学校を休んでいて、児童相談所に通っている。
 親の育て方や環境と言うけれど、弟がいるならば兄弟の育て方や環境にそれほど差が出てくると思えない。初めの子が一番かわいがられているのではないかという親の考えは間違っているのかしら。長男から見た親が弟に対する接し方がどんな風に写っているのか。親が知らない間に『小さな芽』は育っていくのだろうか。

●いいわけ劇場/群ようこ
 究極に依存しながら生活していく人たち。こんなことはないだろうと思いながらも少なからず思い当たる節も。洋服だって、こんなには買ってないけど・・・。な〜んて、ちょっと恐ろしいお話。

 
 

 

「少年A」この子を生んで・・・/父と母 悔恨の手記 文春文庫

十四歳の息子「少年A」が、神戸連続児童殺傷事件の犯人「酒鬼薔薇聖斗」だったとは。逮捕当日まで、我が子の犯行を想像すらできなかった両親が、悔恨の涙とともに綴った手記。私たち親は、どこで、何を、間違えたのか? 十四年にわたるAとの暮らしと、事件前後の家族の姿、心情を記した衝撃のベストセラー。

文春文庫 http://www.bunshunplaza.com

いいわけ劇場/群ようこ 講談社文庫

いいわけしながらやめられない、「だって、コレがないと生きていけないんだもん」。生きていれば、誰にでもあるよね、つらいこと、悲しいこと。だから、わかるよ、その気持ち。何かに依存するあまり、どこか本末転倒なおかしな人たちが次々登場。著者ならではの筆が冴えわたる、哀しくもおもしろい短編小説集。

講談社文庫 http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bunko/