『ピタッ』と変身、ブラックマン

〜08 はみがき編〜

 わが家では、お風呂の時に一緒にハミガキをしてしまいます。理由はコップでお口を「ぐしゅぐしゅ、ッぺ」の時、口からお水がドバーッと出て、洋服を濡らしてしまう、という悪夢を防ごうと、お風呂の時に始めたのがきっかけです。
 湯船につかりながらのハミガキは落ち着いてゆっくりていねいに出来るような気がします。でもあつやはちょっと違うみたい。歯ブラシをお口にくわえたままで遊びたがります。ちっとも磨かないうちにきよみママがお口を濯ぎ始めると一緒に濯ぎたがります。
 「あ〜つ〜や〜、ちゃんと磨いたの? 歯に虫が付いて痛くなっても知らないぞ〜」
そこでやっとエンジンがかかったかと思うと一気にエンジン全開ぶるるるる〜ん。歯を猛ダッシュで磨き始めます。あれよあれという間に上の歯下の歯横の歯もゴシゴシ。前歯もいーしてゴシゴシ。
 「やれば出来るじゃ〜ん」
要所要所誉めて、あまり雑にならないように促します。
 「はい、もういいよ」
と自分で判断し、歯ブラシを寄こします。後はシャワーのお湯で「ぐしゅぐしゅ、ッぺ」。
きよみママがあつやに聞いてみます。
 「今の、すごく早くて上手だったね〜。もしかしてブラックマンが来てたかな?」
 「ううん、来てないよー」
自分の力で磨き通したと言いたいのでしょう。あつやは誉められたので調子に乗って「変身〜、ボンってやるんだよー」変身ネタをばらしてしまいます。しかし、それが変身技とは気がつかない様子できよみママは「ふ〜ん、そうなのか。変身しれなくても上手に出来るんだー」と、感心していました。

 たまにはブラックマンにならなくても上手に出来なくっちゃいけないんだもんね。

 

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