『ピタッ』と変身、ブラックマン

〜04 守れたか?編〜

 「お風呂入るぞー」のきよみママの声。
 「あつは、おしっこ行ってから〜」そーして、あつやはお手洗いへ。
 あつやはすでに『お手洗いを一人で出来る』はクリアーしている。当然問題なしでお手洗いに駆け込めるはずだった。しかし、この日はどーいうわけだろう。お手洗いのドアを開けるのに手間取ったか、又はおしっこのタイミングを計り違えたか。とにかくあつやのおしっこはお手洗いの前の廊下に放物線を描くと止まることを知らずに“びしゃびしゃびしゃ〜”と、おちんちんの先から出てきてしまったのだ。
 あつやはあわてなかった。さいわいにきよみママはすでにお風呂に入っている。すべてのおしっこをそこへまき散らすと、『しゃきーん』タオルを用意した。そこですかさず「ピタッと変身、ブラックマン」と、あつやはブラックマンに変身した。

 ところが、それをこっそり覗いていた人がいた。きよみママだ。きよみママは待てども待てどもあつやがお風呂に入ってくる気配が無いのを察して、いやいや、それどころか怪しい雰囲気をキャッチし、お風呂場の入り口の隙間から外を覗いていたのだ。のぞく先はお手洗いの前の廊下。きよみママが見た物はあつやのまん丸おしりさんのどアップだ。あつやはお尻丸出しのままブラックマンに変身していたため、『ブラックマン』であることはきよみママに気付かれなかったのだが、こぼれたおしっこをタオルで拭いている姿をバッチリ目撃されてしまったのだ。

 「ふ〜、やれやれ、平和が守れたぞ」とおしっこを拭き終えたた。バッチリ拭けたはずだ。ぬかりなし。さすがは俺様、ブラックマン、はっはっはー。ブラックマンからあつやに戻った。そして、おしっこで濡れたタオルを元の棚へ戻そうとした時、「あ〜つ〜や〜」の声がした。で、振り向くとそこにはきよみママの姿があった。
「拭いたタオルは洗濯機の中だよ」の声に、ドキドキしながらあつやは答えた。
「あつね、あつね、今ね、自分で拭いたんだよ」・・・。

 今日も平和が守れたか、ブラックマン。まだまだ試練はつづくのだ。

 

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